山立会がジビエを販売する理由
明日、11月15日から石川県でも本格的な狩猟期が始まります。今回は、山立会がジビエの食肉処理を止めて、食肉販売に力を入れ始めた理由をお話ししたいと思います。
私は、山立会を起業する前は、白山ふもと会職員として2年半にわたり、猪の食肉処理を担当させていただきました。その後、山立会を立ち上げてからも、2年間、白山ふもと会からの委託業務として猪の食肉処理を任せていただき年間150~400頭のイノシシを解体していました。
その時に感じたのが、解体は体力的にきついだけで、頑張れば誰でもできる(プロレベルは別として)、それよりも売るのが難しいということです。売るのが難しいのは何でもそうだと思いますが、特にジビエは供給が不安定なので、営業したところが肉が無い!なんてことも当然のようにあって難しい面があります。営業ができないため、逆に猪がたくさんとれたときには、冷凍庫がいっぱいになって、狩猟者からの受入れをストップするような年もありました。また、ウデやヒレなど使いづらい部位だけが売れ残ることもありました。せっかく頑張って解体した肉(動物の命)も売れなかったら全て無駄になります。また、白山ふもとは正社員が有本一人だったため、現場の対応(猪の搬送、解体)だけで手いっぱい、肝心の“売る”ための営業などに取り組めていませんでした(経験もなかった)。
また、ふもと会からの委託でやっていたときは、猪肉の販売価格を決めているのはふもと会の理事会であり、「売れないから値下げする」という方向になり、このまま解体をしていても自分たちの生活に必要な収入を稼いでいくのは無理だと判断しました。
そこで感じたのは、ジビエを売るノウハウをもった人が必要だと思いました。木滑ナメコをとあるイベントで驚くほど安い値段(いつもの値段)で売っていた時に、“山の人は商売が下手”と言われたことがありますが、その通りだと思います。石川県内でも羽咋市や小松市にあるジビエ食肉施設のように、行政の支援もあり、ジビエ専門員が4~5人いるようなところでは自分達だけで経営できると思いますが、ふもと会のように常勤職員が1名しかいない施設では販売までしっかりこなすのは厳しいです。今や、農水省のススメもあって全国にジビエ食肉処理施設が600以上あるそうですが、小規模で販売に苦労しているところが多いのではないかと推察します。
そこで!常勤職員が1,2名しかいないような小規模な食肉処理施設と山立会が連携して、“ジビエを使う・売る”役割を山立会が担えば、食肉処理施設も山立会もうまく回っていくのではと考えました。山立会では、現在、自社の山立会食堂でふもと会(白山市)から仕入れた鹿肉・クマ肉や、里山食品(穴水町)から仕入れた猪肉を利用しているほか、一般客への販売も始めています。山立会はソーセージなどを製造するのに必要な「食肉製品製造業」の許可も取得しているので、ジビエ加工品を製造することも可能です。
小規模なジビエ処理施設どうしが連携することで、販売価格や解体技術について情報交換・研修会を開いてノウハウを高めたり、連携体全体として安定供給できるようになることで、大手との取引も可能になるかもしれません。ジビエ処理施設同士で競争するより一緒にやった方が楽しそうなので、賛同してくれる施設があればSNSやZOOMでつながって全国で連携していきたいと思います。夢は広がりますね。
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