羊飼いの冬支度
12月に入ってすぐに木滑のあたりで積雪しました。
まだまだ秋だし大丈夫~なんて考えていましたがもう秋ではなく冬ですね・・・。
元青森県民の私からすると雪は地吹雪が起こるような、蹴ってふんわりと舞い上がるものだったのですが、石川の雪はいかにも重そうな水分たっぷりな雪で早くも驚いています。
この積雪にて、早急に冬の準備をしなくてはいけないというのを突き付けられました。
うちの羊たちも冬に備えることがたくさんあります。
まず、放牧小屋は積雪に耐えられるほど丈夫ではないですし、羊たちも身動きが取れなくなってしまうため、畜舎へと移す作業があります。
山立会はまだ羊専用の畜舎というものがないため、牛飼いをされていた方の畜舎にて羊たちは越冬します。
11月半ばに仔羊は移動させていたのですが、昨日母羊が移動し、終牧は完了。放牧地は誰もいなくなりました。
羊たちがいなくなった放牧地もまた放置しておくわけにはいきません。
小屋がつぶれないように屋根を外したり、雪の重みで変形しないように電気柵や恒久柵を取り外したり、いろいろです。
本当は放牧地を天耕したほうがよいのですが…これは来年春の作業になる模様・・・。
また、羊は周年繁殖をするウシとは違い、秋ごろに発情が来て、春前に分娩を迎える季節繁殖の動物です。
つまり冬は、新しい命と出会う季節になります。
今年度から入社した私は、産まれてから数週間の仔羊にはあったことはありますが、まだ出産に立ち会えていません。
分娩というのは母子ともに死亡することもあるのですごい緊張する傍ら、命の誕生の瞬間はいつ見ても感動するので、楽しみでもあります。
しかしその一方で命とお別れする季節でもあります。
今年の春に産まれた仔羊たちもそろそろ出荷支度。
1月~2月にかけて屠畜場に屠殺のお願いをしました。
最近「出荷するときの気持ちはどうですか」とよく聞かれるのですが、正直言葉にするのは難しいことです。
もちろん、1年間育ててきて、しかも少数なのでどの子もどういう性格なのかとか把握しているわけですから、とてもむなしいし悲しくなります。
でもこう思う一方で、仕方ないと割り切れているというのが本音です。
「仕方ない」なかで、責任を背負うべきとも思っています。
消費者というのは、この命をいただくという直接的な責任を負わずに、命を食べているというのが現状じゃないでしょうか。
飼育されている、生きている家畜たちを見たことがありますか?産まれてからの一生を知っていますか?屠殺の瞬間を見たことがありますか?どういう風にスーパーに売っているお肉のパックになるか、その工程を知っていますか?
それをしっている生産者の私は、誰よりもこの「命をいただく」責任を背負う必要があると考えています。
もし、屠畜現場など興味がある方は『いのちの食べ方』というドキュメンタリー映画を一度見てみてください。
ナレーションもBGMもなく、無機的に命をいただいているという現状を突き付けられます。
その中で、食品に対してどう頂いていくかというのを考えられる作品だと思います。
さて、放牧が終わり一旦落ち着きましたが、年明けからは出荷分娩と忙しくなりそうです。
出荷の際は山立会食堂でも特別メニューを提供できたらと考えていますので続報をお待ちください!
(ひつじ担当:山本)
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