山立会が育てる「SATOYAMA HITSUJI」とは?
◆育てるのはどんなひつじ?
山立会が育てているのは、英国サフォーク州が原産の「サフォーク」種。
日本では馴染みのあまりない畜産動物ですが、ひつじと人との歴史自体は畜産動物の中でも群を抜いて長く、紀元前7,000~6,000前からの付き合いです。
そのため、現在まで様々な品種改良がされており、世界に3,000種以上のひつじがいます。
山立会で育てているこのサフォーク種は一見して特徴が分かるように、頭や手足が黒く、毛が白いのが特徴です。
ひつじは、お肉、乳、羊毛と、家畜の中でも特に利用できる部分が多い動物ですが、サフォーク種はその中でも主にお肉をとるのに特化している品種になっています。
早熟早肥なため産肉性に優れていて、脂肪が少ない良質の赤身肉です。日本では一番飼育頭数が多い品種なので、目にする機会は多いかもしれません。
◆ただ育てるだけじゃ面白くない!新たな生業に、そして地域の宝にしていくために、山立会は下記3点にこだわった飼育を目指します。
1.アニマルウェルフェアに配慮した飼育方法(放牧)
冬場は畜舎内で育てますが、夏場は基本的に放牧です。
昨今注目されている「アニマルウェルフェア(動物福祉)」。
このアニマルウェルフェアとは、国際獣疫事務局(OIE)が提言したペットや家畜に対する「5つの自由」をもとに、それを守っているかどうかを基準とするためにできた言葉になります。
・飢えや渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、外傷や病気からの自由
・本来の行動する自由
・恐怖や苦痛からの自由
世界、特に欧州では、上記の5つの自由をもとに、もっと具体的に細かく法規制が進んでおります。
しかし日本では、家畜に対する自由に関する法律は一切ありません。
また、畜産のガイドラインでも具体的には書かれていません。
それゆえに日本では、牛では首をつないで育てるスタンチョン飼い、豚では座るか寝るかしかうごけない囲いの中で育てるストール飼い、鶏は網の上に密集させて育てるバタリーケージでの飼育が多くみられます。
春から秋にかけて放牧で育てること。
これはアニマルウェルフェアに準じた飼育形態です。
この期間は好きな時に水を飲み、好きな時にご飯を食べ、好きな時に外にいけます。
ひつじたち自身が「選択」して生きているんです。
それがひつじたちにとって幸せか?というと、アブやらハエやらにたかられるし、大雨にさらされることもあるし、寄生虫に寄生されることもあるし、寝てるだけでご飯出てこないし、夏の暑い日に外でご飯を食べなくては行けないしと、断言はできません。
けれど、この自由に選択できる飼育形態を、我々は大事にしたいと考えています。
2.地域食材を有効活用した餌による肉質追及(旨い羊肉を提供)
・飼育、えさにこだわった国産ブランド羊肉の生産
・地元大学と連携し、地域の食品廃棄物を有効活用した飼育技術確立
仔羊を放牧による野草の自由採食と補助飼料によって肥育します。耕作放棄地でも肥育は可能で、お肉は美味しく臭みもほとんどありません。補助飼料には地元で出た「くず米」「おから」等の捨てられる資源を有効活用していきます(食品廃棄物の循環)。
3.羊事業を通して地域農業・観光にも貢献(地域活性化)
3-1.農業に貢献
・糞→堆肥化して田畑へ(貴重な堆肥)
・堅豆腐のおから、キャベツの廃棄部分→食品廃棄物を飼料として循環。
・放牧により、舌草刈りと蹄による踏み付けで雑草の繁殖が抑えられ、種の散布・害虫の発生を抑制します。
3-2.観光に貢献
・放牧により、荒れ果てた農地に人の手が入り、管理されることでかつての景観が再生されます。
・放牧により、手入れされた農地と放牧されたひつじを嫌がり、イノシシやシカの出没が減ることで、獣害対策に繋がる事が報告されています。
♦石川県立大学との連携
先ほどにも、地域食材をつかった飼料給餌の飼育技術確立について協力を仰いでいると記述しましたが、普段より県立大学の協力の元、ひつじを飼育しております。
体重、育成速度に合った飼料計算。
野草での飼育技術の確立。
また、日々植生やひつじの嗜好性などの研究を重ねてくださり、里山での飼育方法を確立してくださっています。
♦2021年度の出荷見込み
2021年度は1月12日より出荷を開始いたします。
一般販売は見合わせておりますが、山立会食堂にて1月下旬ごろより提供していく予定です。
(※体重の増量によって提供できない可能性もあります。続報をお待ちください)